この記事の結論(1分で要約)
- 対象: 採用難にお悩みの税理士事務所オーナー・採用担当者
- 結論: 「待ち」の求人をやめ、事務所の「文脈」を売る戦略へ転換する
- 理由: 売り手市場では、条件競争ではなく「共感」と「定着の仕組み」が勝敗を分けるから
- 次のアクション: 採用マーケティングの導入と、実務を回すPM(司令塔)の確保
有効求人倍率の高止まりにより、税理士業界は依然として「超売り手市場」です。
「ハローワークに出して待つ」「紹介会社に頼る」だけの従来手法では、採用コストは高騰し、ミスマッチも防げません。
本記事では、数多くの士業事務所のマーケティング支援を行う株式会社サイダーストーリーが、中小事務所が大手に負けないための「採用マーケティング」戦略と、2024年以降の法改正に対応した実務ノウハウを解説します。
※本記事の法規制・助成金情報は執筆時点(2026年1月)のものです。個別の労働紛争や助成金申請については弁護士・社労士へご相談ください。
目次
なぜ、あなたの事務所は「税理士」を採用できないのか?
売り手市場において「待ち」の姿勢は致命的であり、採用できない原因は「知名度」ではなく「構造」にあります。
有効求人倍率の高止まりと構造的課題
厚生労働省が公表する「一般職業紹介状況」等のデータ[1]を見ても、専門的・技術的職業の有効求人倍率は依然として高水準で推移しています。
特に税理士・会計スタッフの採用市場は「超売り手市場」であり、求職者1人に対して複数の事務所がオファーを出す状況が常態化しています。
この環境下で採用できない事務所には、以下の4つの構造的なボトルネックが存在します。
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| ボトルネック | 概要 | 従来の誤った対策 |
| 1. 認知不足 | そもそも求職者に知られていない | ハローワークに登録して放置 |
| 2. 条件負け | 給与・休日数で大手に見劣りする | 無理な賃上げで経営を圧迫 |
| 3. 魅力の言語化不足 | 「アットホーム」等、曖昧な表現 | どこかで見たような美辞麗句 |
| 4. スピード不足 | 面接設定や合否連絡が遅い | 所長が空き時間にメール返信 |
多くの所長先生は「うちは知名度がないから」と仰いますが、問題は知名度ではなく、自社の魅力を正しく翻訳し、ターゲットに届ける「構造」が欠如していることにあります。
データが示す通り、待っているだけで人が来る時代は終わりました。まずは「選ばれる側」である自覚を持つことがスタートラインです。
「待ち」から「攻め」へ。採用マーケティングの導入
採用活動を「営業活動」と捉え直し、ターゲット(求職者)に合わせたメッセージを届ける必要があります。
「3点連動チェック」でミスマッチを防ぐ
採用活動は、求職者を「顧客」、自社を「商品」と見立てたマーケティング活動そのものです。
ここで重要になるのが、私たちが提唱する「 3点連動チェック」です。
- Target(誰に): 経験者か、未経験者か、独立志向か、安定志向か。
- Message(何を): 専門スキルか、ワークライフバランスか、将来の暖簾分けか。
- Media(どこで): エージェントか、求人サイトか、SNSか、リファラルか。
この3つがズレていると、どれだけコストをかけても成果は出ません。
採用ファネルと手法の最適化
求職者の心理変容に合わせ、適切な手法を組み合わせる「ポートフォリオ」の発想が必要です。
【採用ファネルと手法のマッピング図】
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| フェーズ | 求職者の状態 | 推奨手法 | コスト | 質 |
| 認知 | 事務所を知らない | SNS、Web広告、オウンドメディア | 低〜中 | – |
| 興味 | 詳しく知りたい | 採用サイト、ブログ(先輩の声) | 中 | 高 |
| 検討 | 応募を迷っている | カジュアル面談、説明会 | 低 | 高 |
| 応募 | 選考に進みたい | エントリーフォーム | – | – |
単一の手法に依存するのではなく、例えば「Web広告で認知を広げ、採用サイトで意向を高め、直接応募に繋げる」といった導線設計(採用マーケティング)が、採用コストの削減と質の向上を両立させます。
大手に負けない「事務所ブランディング」の作り方
条件競争は避け、事務所独自の「文脈(ストーリー)」で共感を生むことが中小の勝ち筋です。
条件ではなく「文脈」で採用する
給与や福利厚生だけで勝負すれば、資本力のある大手税理士法人には勝てません。
しかし、中小事務所には大手にはない「文脈(コンテキスト)」があります。
私たちは、数値を追うだけでなく、事務所の「在り方」を言語化します。
- 大手: 歯車として機能することが求められる / 業務が細分化されている
- 中小: 経営者の隣で全体像が見える / 裁量が大きく成長スピードが速い
この「違い」を「劣位」ではなく「優位性」として語ることはブランディングです。
自社の強み発見シート(MVV)
以下の視点で、貴所の強みを棚卸ししてみてください。
- Mission(使命): なぜこの事務所をやっているのか?(例:地元企業の黒字化)
- Vision(風景): どんな未来を目指しているのか?(例:地域No.1の相談拠点)
- Value(価値観): 日々何を大切にしているか?(例:素早いレスポンス、顧客への憑依)
これらを「採用サイト」や「面談」で熱量を持って語ることで、条件ではなく「想い」に共感する人材が集まります。
給与では勝てなくても、「働きがい」や「裁量」では勝てます。その言語化こそが、編集者である私たちの得意分野です。
応募が増える「求人票・採用サイト」の必須コンテンツ【法改正対応】
求人票は法的要件を満たしつつ、求職者の不安を払拭するコンテンツでなければなりません。
良い求人票 vs 悪い求人票
求職者は、具体的なイメージが湧かない求人を避けます。
また、2024年4月の労働条件明示ルール改正[2]により、就業場所や業務の変更範囲の明示が義務化されています。
【良い求人票 vs 悪い求人票 比較表】
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| 項目 | 悪い求人票の例 | 良い求人票の例 |
| 仕事内容 | 税務会計業務全般 | 顧問先への巡回監査(月15件程度)、決算申告書作成、融資支援業務。 ※将来的に資産税業務への変更の可能性あり(法改正対応) |
| 労働条件 | 委細面談 | 月給30万円〜(固定残業代40時間分含む)。 超過分は別途支給。 |
| 魅力付け | アットホームな職場です | 週1回のランチ会で事例共有を行っています。 未経験でも質問しやすい環境です。 |
必須コンテンツ:不安を「信頼」に変える
採用サイトには、以下のコンテンツを必ず配置しましょう。
- 先輩インタビュー: 「なぜ入社したか」「どんな時にやりがいを感じるか」
- 1日の流れ: タイムスケジュールで働き方を可視化
- キャリアパス: 入社3年後、5年後の姿(年収モデル含む)
- 代表メッセージ: 所長の人柄とビジョン
コンプライアンス(法令遵守)は、事務所への信頼そのものです。法改正への対応は、求職者への誠実なメッセージとなります。
(※本項目の記載は2026年1月時点の法令に基づきます。最新の労働基準法・職業安定法をご確認ください)
コンプライアンスは信頼の証です。曖昧な表現はリスクでしかありません。
未経験者を戦力化する「教育・定着」の仕組み
採用のゴールは「入社」ではなく「定着・戦力化」であり、未経験採用こそが組織拡大の鍵となります。
「即戦力」という幻想を捨てる
経験者は採用コストが高く、前の事務所のクセがついていることもあります。
一方、未経験者はポテンシャルが高く、事務所のカルチャーに染まりやすいメリットがあります。
重要なのは、未経験者を早期に戦力化する「仕組み」です。
オンボーディング・タイムライン(例)
- 入社〜1ヶ月: ビジネスマナー研修、会計ソフトの基本操作、先輩同行
- 〜3ヶ月: 領収書入力、単純な仕訳入力、月次試算表の補助作成
- 〜6ヶ月: 担当を持ち、先輩のサポート下で巡回監査同行
このように階段を設計し、マニュアル化することで、「教えても背中を見て覚えろ」という属人的な教育から脱却できます。
育てる仕組みがあれば、採用の幅は大きく広がります。「未経験=リスク」ではなく「投資」に変える設計が必要です。(※試用期間中の解雇等は法的リスクを伴います。必ず就業規則に基づき運用してください)
【Pivot Point】採用戦略を「絵に描いた餅」にしないために
戦略はあっても、所長には実行する「時間」がない。ここが最大のボトルネックです。
自社でやるか、プロに任せるか
ここまで「採用マーケティング」の重要性をお話ししましたが、多くの所長先生が直面するのは「誰がやるのか?」というリソースの壁です。
所長がスカウトメールを送り、日程調整をし、面接をする。これでは本業の収益化活動が止まってしまいます。
【自社実行 vs 外部支援 判断フローチャート】
- 採用専任者はいますか?
- Yes → 自社で実行(戦略の定期見直しのみ外部へ)
- No → 次へ
- 所長の工数は週10時間以上空いていますか?
- Yes → 所長自身が実行(教育コスト覚悟)
- No → SIDER ENGINE(PM支援)の導入を推奨
SIDER for Professionals:所長の分身となるPM
私たちの提供する「SIDER for Professionals」は、単なるコンサルティングではありません。
貴所の「マーケティング部」「人事部」として機能し、「交通整理」を行います。
- 求人原稿の作成・入稿
- エージェント対応・コントロール
- 応募者対応・日程調整
- 採用サイトの改修ディレクション
これらを丸ごと引き受けることで、所長は「最終面接」と「経営判断」だけに集中できます。
所長の本業は経営と実務です。採用実務という「重荷」を、プロに預けてみませんか?
※採用代行の範囲には、弁護士法・社労士法に抵触する業務(法律事務の周旋等)および職業安定法上の職業紹介事業は含まれません。
税理士事務所の採用成功事例(SIDER STORY支援実績)
集客と採用を連動させることで、事業成長のボトルネックは同時に解消できます。
相続特化型税理士法人の事例
- 課題: Web経由の問い合わせがゼロ、採用も難航し組織拡大が停止。
- 施策:
1. Web広告・SEOによる集客強化(知名度向上)
2. 集客数増加を背景とした「成長性」のアピール(採用ブランディング)
3. 採用サイト改修とダイレクトリクルーティングの実施
- 成果:
・問い合わせ数:月10件 → 100件(10倍)
・採用:税理士4名の採用に成功
集客がうまくいっている事務所には、良い人材が集まります。
「仕事があるから人が必要」という健全なサイクルを作ることが、最強の採用戦略です。
これは特別な事例ではありません。正しい戦略と着実な実装があれば、再現可能な結果です。
※成果は事務所ごとの個別要因(立地・待遇・競合状況等)により異なります。
よくある質問(FAQ)
税理士採用の難易度はどのくらいですか?
有効求人倍率は高く、経験者の採用は非常に困難です。未経験者のポテンシャル採用や、時短勤務などの柔軟な働き方を提示することで、母集団を広げる工夫が必要です。
未経験者を採用するメリット・デメリットは?
メリットは組織文化への適応の早さとコストの安さです。デメリットは教育コストがかかることですが、マニュアル化や研修制度(オンボーディング)を整えることで戦力化を早めることが可能です。
小規模事務所が大手に勝つにはどうすればいいですか?
条件面ではなく、「働きがい」「裁量権」「所長との距離の近さ」などの定性的な価値(文脈)で差別化します。独自の強みを言語化し、採用サイト等で発信することが重要です。
採用代行(RPO)はどこまで依頼できますか?
求人票作成、媒体選定、スカウト送信、日程調整などの実務全般を依頼可能です。ただし、面接や採用の最終判断は事務所側で行う必要があります。
まとめ
税理士事務所の採用難は、単なる人手不足ではなく、「選ばれるための構造」の欠如が原因です。
- 「待ち」から「攻め」の採用マーケティングへ転換する。
- 条件ではなく「文脈」でブランディングする。
- 法対応したコンテンツで信頼を獲得する。
- 実務はプロ(PM)に任せて、所長は経営に集中する。
このサイクルを回すことで、中小事務所でも優秀な人材を採用し、定着させることは十分に可能です。
「何から手をつければいいかわからない」「時間がない」という方は、ぜひ一度、SIDER STORYの無料相談をご利用ください。
貴所の現状を整理し、最適な「勝ち筋」をご提案します。
脚注
[1] 厚生労働省「一般職業紹介状況」
[2] 厚生労働省「令和6年4月1日から労働条件明示のルールが変わります」